滋賀県琵琶湖のほとりにある大塚食品琵琶湖研究所。
20年以上続くロングセラーとなったマンナンヒカリは、ここで誕生しました。
お米と混ぜて炊くだけで糖質・カロリーカットできるマンナンヒカリは、どのような想いで生まれ、改良されてきたのでしょうか。
食品開発室の平間室長に、誕生のきっかけ、知られざる開発のエピソード、そしてこれからの展望を聞きました。
PROFILE
平間 己敬 Kiyoshi Hirama
大塚食品 琵琶湖研究所
食品開発室 室長
1990年代の日本は、ファストフードを中心に欧米の食事が好んで食べられるようになりました。それまでの食事よりもカロリーや脂質が高く、肥満の方や生活習慣病の方、その予備軍も右肩上がりに増えてきた時期でした。
その頃、医薬品を扱う大塚グループの会社ゆえに、お医者さんと話す機会が比較的多く、あるとき私の上司に産婦人科医から相談がありました。「妊婦さんが体重増加と便秘に悩まされているけど、身重なため運動することができない。ダイエットで食事制限するのも身体によくない。カロリーが低く、妊婦さんの悩みを手助けできるものはないか」というものです。大塚食品ではレトルト食品や飲料など幅広く作っている中で、どのような食品がよいか検討いたしました。妊婦さんが無理なく体重がコントロールできるように、できるだけ食生活に幅広く使っていただけるもの、食べる頻度が高いものがよいと考えました。そこでお米と一緒に食べるものであれば、毎日食べていただき食生活の改善につながるのではないかと、マンナンヒカリの開発が始まりました。
開発にあたりこだわったのは、素材選びと、見た目や食感、味をよりごはんに近づけることです。
まず原料となる素材はカロリーがあまり高くないこと、そして日本人になじみがあり、毎日安心して食べられることを条件に検討しました。寒天など様々な素材も候補に上がりましたが、栄養素や味だけでなく、安定供給できること、水分含有量などを踏まえて、最終的に選ばれたのがこんにゃくでした。
こんにゃくには黒い粒や独特の香りがあります。もちろんカロリーカットできて、食物繊維もとれるという特長を追求していましたが、黒い粒が混ざっていたり、こんにゃくの香りがしたりすると、普段どおりのごはんと感じられないため、何十種類もあるこんにゃくの素材から厳選しました。
素材を選んだあとは、いかにごはんに近づけられるかにこだわりました。ごはんは非常にプレーンな食品ですが、ほんのりした甘みやうまみがあるんですよね。食感も硬い・柔らかいなど個人個人で好みもわかれます。本来こんにゃくが良いからこんにゃくを選んでいるのですが、あまり主張しないでくれよと思いながら、試作、炊飯、試食を繰り返す中で、見た目、食感、香り、味など、お米と混ぜても違和感がないことにとことんこだわりました。
外食や企業食堂、コンビニやスーパーのお弁当やおにぎりなど様々な形で『マンナンヒカリ』を広めていくために、全国各地のお客様を回りました。電気、IH、ガスなど、ごはんを炊く方法は様々です。実際、製品をそれぞれの環境で炊飯してみると、研究所とは同じように炊きあがらないこともありました。今でも、試食会で炊飯器を開ける時は、どんな炊きあがりなのか、ドキドキしますね。
マンナンヒカリに求められるのは、「普段食べているごはんと変わらないこと」です。つまり、見た目、食感、味などが、お米と混ぜても主張せず、毎日無理なく食べられることを大事にしています。お米だけで炊いたものにできるだけ近づけるように、200か所以上で試食の意見や要望を収集し、その内容を取り入れて、『マンナンヒカリ』の改良を現在に至るまで重ねてきました。
マンナンヒカリで一番うれしい反応は、「混ざっていることに、気づかなかった」です。糖質・カロリーコントロールや食物繊維がとれることももちろんですが、ごはんは毎日食べる方も多いので、見た目、食感、味などをもっともっとお米に近づけていくことは、これからも追求していくべき課題です。物性面でも、水を吸う速度を上げるなど、様々な研究を重ねています。また、マンナンヒカリの食べ方として様々なレシピを紹介しています。無理なく毎日の食事に取り入れていただけるよう、これからもマンナンヒカリの品質向上のため、研究に打ち込んでいきたいです。
※記事の内容および社員の所属は2023年の取材当時のものです。
ちょっと
豆知識
医師からの相談で
始まったマンナンヒカリ
製品開発のきっかけは… 食の欧米化!
1990年代から徐々に欧米の
食文化が日本に広まり、
ファストフードをはじめ、
肉類が多く野菜の少ない食事に。
その結果… 生活習慣病が増加!
脂質やカロリーの摂りすぎ、
食物繊維不足な人が多くなり、
健康面で大きな影響が。
参考文献:農林水産省「食生活の欧米型化日本の食料消費は」より
開発の後押しとなったのは… 医師からの相談!
ある産婦人科医の「妊婦さんが体重増加や便秘に悩んでいる」との相談を受けて、大塚食品は製品開発に乗り出した。
お米に混ぜる製品になった理由は… よく食べるものだから
日常生活で喫食頻度の高い食品として、お米に着目。
「お米を混ぜて炊くだけで毎日の食事に取り入れられる」という簡単さを踏まえ、
白米感覚の製品を開発!
産婦人科医の相談を受けて、
実際に製品開発を開始。挑戦の歴史が動き出す!
おかゆ・ドリア・ピラフ・おにぎりなどレトルト食品、冷凍食品の「健食美学」をリリース!
あきたこまちに由来して命名した『マンナン小町』を開発!マンナンヒカリのルーツに
コシヒカリに由来して命名した「マンナンヒカリ」に
リニューアル!
当時は糖尿病や肥満症の方向けに、特別用途食品の病者用商品の低カロリー食品として販売!
※現在の特別用途食品の定義とは異なります
「もっと多くの人に使っていただきたい」という想いから、マンナンヒカリを一般食品化!
スーパーでも見かけられるようになり、気軽に購入できる食品に!
製品ラインナップにパックごはん型の『マンナンごはん』を追加!
レンジでチンするだけで食べられる簡単さが売りに!
大麦β‐グルカンの働きで食後血糖値の上昇をおだやかにする
もち麦・玄米入りマンナンヒカリ・もち麦・玄米入りマンナンごはん新発売!